合併と協業の違い

1.合併は、複数の法人が単一の法人になることを意味する企業ぐるみの統合(参加する企業の権利義務全てを存続する企業に包括的に承継する)であるが、協業組合は4社以上の事業者が共同出資会社を設立するような方法で法人になり、各組合員の事業とその事業活動に付帯する経営資源(人・物(土地・建物・構築物・機械装置・車両運搬具・工具 器具備品)・受注残・各種許認可権利・企業間信用・技術力・経営力)を統合する。従って個人事業者と法人事業者の協業も可能である。

2.合併は合併存続企業以外は全て解散し企業が残らないが、協業組合は参加組合員の法人格等は消滅せず存続する。すなわち統合事業以外の事業活動で残るし、新たに事業を興すことも可能であり、統合事業以外の事業を実施していない場合では名前(ペーパー会社となる)は残る。

3.さらに協業組合は、組合員の事業とその経営資源のうち、協業組合が必要とする事業と 経営資源を各組合員と合意し契約(協業計画書に記載)したもののみを統合(移行)することができる。   しかし合併は、不要な不動産・資産・負債・人材・機械なども一緒に持ち込むことになる とともに合併比率の評価が難しいので、合意に時間がかかる。(協業組合は合併より早く統合が可能)

4.従って、合併と大きく違うところは、各社の事業の一部のみを統合することが可能であるとともに、各組合員は協業組合への事業の統合による当該事業の廃止のみなので事業所は残り、協業組合が目標とする適正規模のために自由に各組合員からの経営資源を合意・契約の上統合し、新会社を設立する方法で企業を設立することができる。

5.協業組合は合併と違い、統合する事業の順番を、一部協業から全部協業へ、又弱い部門から統合するなどステップを踏んで移行を進めて行くことも出来る。

6. 協業組合は、多角経営をしている企業は、統合する事業のみを分離することが出来る。

7.協業組合の各組合員は、統合した事業の経営資源で協業組合が必要とせず統合しなかった不動産・資産・負債・人材・機械などを各組合員が処理しなければならない。

8.合併新設会社と協業組合の設立当初は、建設業の登録や経営事項審査、入札参加資格名簿搭載は早期処理の取扱いはするがあくまでも新規として取り扱うので、一時的に受注機会が減少する可能性があるが、合併存続会社は法人が継続するので、これらの取り扱いは継続することになる。

9.合併会社は、構成員の事業以外の事業も新規事業として取り組むことができるが、協業組合は構成員の事業とその関連事業しか実施できない。(事業を増やす方法は、取り組む事業を行う事業者を構成員にする。)

10.合併は2社以上であるが、協業組合は4社以上が必要である。