設立の手順

組合を設立するには、行政庁の認可を要するなど一定の手続が必要です。設立手続は、組合の種類によって若干異なりますが、概ね次図のような手順です。
なお、組合の設立については、認可を行う行政庁において指導していますので、予め指導を受けるのが賢明です。また、組合専門の指導機関として新潟県中小企業団体中央会があり、設立のお手伝いをしています。

設立発起人 → 設立同意者の募集 → 創立総会議案作成(創立総会開催公告) → 創立総会開催(議案の承認) → 第1回理事会の開催 → 設立認可申請 → 設立認可 → 事務の引継(理事へ) → 出資の払込 → 設立登記(組合成立)

設立要件

組合は、設立できる要件が組合毎に法律で定められていますので、設立する場合には、この要件を充す必要があります。組合毎の設立要件の主なものは、次の通りです。

◆事業協同組合、企業組合

1 – 設立同意者が4人以上であること。
2 – 設立の手続、定款、事業計画の内容が法令に違反していないこと。
3 – 行おうとする事業にふさわしい組織であること(地区、組合員資格、設立同意者数、出資予定額、役員の構成、経済的環境などを総合して判断される。)

◆事業協同組合連合会

1 – 設立同意組合が2組合以上であること。
2 – その他は、事業協同組合の2、3に同じ。

◆商工組合

1 – 1都道府県または2都道府県以上を地区とすること(産地を地区とすることも認められる。)。
2 – 設立同意者が、組合員資格者の2分の1以上であること。但し、大企業や事業協同組合等の組合を加入させる場合は、資格者並びに設立同意者の3分の2以上が中小企業者であることが必要。
3 – 地区、業種その他の組織構成が、目的とする事業にふさわしいこと。
4 – その他は、事業協同組合の2、3に同じ。

◆協業組合

1 – 設立同意者が4人以上であること。
2 – 大企業を加入させる場合は、大企業の加入予定者が設立同意者の4分の1以下であること。
3 – 設立の手続、定款、協業計画、事業計画が法令に違反していないこと。
4 – 事業を行うに必要な経営的基礎があること。
5 – 協業計画並びに事業計画の内容が、技術の向上、品質の改善、原価の引下げ、能率の増進その他生産性の向上に寄与するものであること。

◆商店街振興組合

1 – 地区が市の区域であって、小売・サービス業の店が30店以上近接して商店街を形成していること。
2 – 設立同意者が、資格者の3分の2以上であり、かつ、設立同意者の2分の1以上が小売・サービス業者であること。
3 – その他は、事業協同組合の2、3に同じ。

創立総会まで

◆発起人

組合の設立を行う者を発起人と言います。発起人の数は、4人(商店街振興組合は7人、連合会は2組合)以上を要しますが、余り多過ぎると意見調整や連絡に手間がかかり、また、法定数ギリギリでも設立途中で欠けた場合に補充の必要が生じます。発起人の資格は、組合員になろうとする者であることが要件であります。
なお、中小企業者以外の者を加入させる組合では、中小企業者以外の者も、加入できる割合に応じて発起人になれます。

◆創立総会までの作業

創立総会までの発起人の仕事には、
1 – 設立同意者の募集
2 – 創立総会への提出議案の作成
3 – 創立総会関係手続とがあります。

設立同意者の募集は、地区内の有資格者に対し、設立趣意書(設立目的と事業計画概要を記載)を示して行い、設立同意書および出資引受書により設立の同意等を得ます。
創立総会の提出議案の作成は、次項の創立総会の議案を参照下さい。
創立総会の開催手続は、創立総会の日時・場所等を決め、同意者に通知するとともに、会日の2週間前までに公告しなければなりません(協業組合は不要)。公告の方法としては、一般的に、発起人代表宅と設立事務所または新聞に掲載する方法がとられています。

◆創立総会

発起人は、以上の手続を行い、創立総会を開催します。創立総会は、設立同意者の半数以上が出席し、1人1票の議決権で、総議決権数の3分の2以上の多数で議決します。
創立総会で議決を要する議案は、次の通りです。

1 – 定款
2 – 初年度および次年度の事業計画
3 – 初年度および次年度の収支予算
4 – 協業計画(協業組合のみ。)
5 – 賦課金の賦課・徴収方法(企業組合と協業組合は、不要)
6 – 初年度における借入金の最高限度額
7 – 初年度の組合員に対する貸付金額および保証金額の最高限度額(金融事業を行わない場合は、不要)
8 – 手数料、使用料、貸付利息および保証料の最高限度額(企業組合と協業組合は、不要)
9 – 加入金額
10 – 創立総会において選任された役員の任期
11 – 取引金融機関
12 – 組合の負担に帰すべき創立費の額および償却の方法
13 – 関係団体への加入
14 – 役員選挙
15 – 組合事務所の位置の決定
16 – 各種規約
17 – 字句の一部修正委任

 このうち、定款の「地区」と「組合員資格」については修正できません。また、協業組合の「事業」の規定の承認・修正には、全員の同意を要します。
 なお、創立総会終了後、選任された理事をもって第1回理事会を開催し、理事長、専務理事等を選任します。

認可申請から成立まで

◆認可申請

発起人は、創立総会終了後遅滞なく、所管行政庁に設立認可の申請を行い、認可を受けます。設立認可の申請には、申請書のほか、次の添付書類が必要です。

1 – 定款
2 – 事業計画書
3 – 協業計画書(協業組合のみ。)
4 – 役員名簿……氏名および住所を記載
5 – 役員の略歴を記載した書面(商工組合のみ。)
6 – 設立趣意書
7 – 設立同意者がすべて組合員資格を有する者であることを発起人が誓約した書面
8 – 設立同意者名簿
9 – 収支予算書
10 – 創立総会の議事録または謄本
11 – 設立同意者が有資格者の2分の1以上を占めていること、その他を証する書面(商工組合のみ。)
12 – 理事会議事録・・・代表理事選任の理事会議事録
13 – 委任状・・・発起人代表を定める場合
14 – 役員就任承諾書
15 – 設立同意書および出資引受書
16 – 業界の改善発達方策の基本方針(商工組合のみ。)

◆所管行政庁

設立認可申請書を提出する行政庁は、大要次の通りです。
1 – 事業協同組合、事業協同小組合、事業協同組合連合会
   ・地区が都道府県の区域を超えない場合
    →都道府県知事。但し、組合員資格業種が財務省の場合は、財務(支)局長、税関長、国税局長
   ・地区が都道府県の区域を超える場合(全国地区を除く。)
     ⅰ. 組合員資格業種が、経済産業省、農林水産省、国土交通省所管の場合
       →都道府県知事

     ⅱ. 組合員資格業種が、財務省所管の場合
       →財務(支)局長、税関長、国税局長
     ⅲ. その他の業種の場合 → その業種を所管する大臣
   ・地区が全国の場合 → その業種を所管する大臣
2 – 企業組合
   ・都道府県知事
3 – 商工組合
   ・地区が都道府県の区域を超えない場合 → 都道府県知事。但し、業種によっては例外がある。
   ・地区が都道府県の区域を超える場合 → 事業協同組合に既ね同じ。
4 - 協業組合
   ・組合の事務所のすべてが1の都道府県内にある場合 → 都道府県知事。但し、一部業種に例外がある。
   ・組合の事務所が2以上の都道府県にある場合 → 事業協同組合の2に同じ。
5 – 商店街振興組合
   ・都道府県知事
 (注)ⅰ. 組合員の業種が異なり、所管行政庁が2つ以上ある場合は、共管になるので各々に申請する必要がある。
    ⅱ. 都道府県知事の所管であっても区市等に権限を委譲したり、区市等を経由して申請書を提出するようになっている場合もある。

◆理事への事務引継ぎ

行政庁の認可があった場合は、発起人は、遅滞なく理事に設立事務を引継ぎ(これによって発起人の任務終了)、それ以降の設立事務は、理事が行います。
 事務引継ぎを受けた理事は、設立同意者に引受けた出資を払込ませます。

◆設立の登記

出資の払込みが完了したら、払込み完了後2週間以内に、管轄登記所に、設立の登記を行います。この登記によって、組合は成立します。

◆成立届

設立登記が完了したら、完了後2週間以内に、認可を受けた行政庁に対し、登記簿の謄本を添えて成立届を提出します。これによって一切の設立手続は完了し、事業活動の開始となります。

発起人の仕事 発起人(4人以上)
理事の仕事
         
定款・事業計画・収支予算等の原案作成、設立趣意書、出資引受書及び設立同意書を作成し、有資格者に送付 →            
  創立総会の開催公告
 
  2週間以上         
定款・事業計画・収支予算その他の議案の決定、役員の選出 創立総会  
        第1回理事会
      理事長、専務理事等の選任
        組合事務所の位置決定
  設立認可申請
 
         
  認可
 
  なるべく早く        
発起人から理事へ事務引継
    ←出資払込請求  
      ←出資払込完了
         
  設立登記(組合成立)