労働者が業務上又は通勤による傷病により療養を必要とする場合に行われ、現物給付としての「療
養の給付」と現金給付としての「療養の費用の支給」の2種類がありますが、「療養の給付」が原則で
す。 「療養の給付」は、労災病院や労災指定病院等にかかれば、原則として傷病が治ゆするまで無
料で療養を受けられる制度です。これに対し「療養の費用の支給」は、労災病院や労災指定病院以外
で療養を受けた場合等においてその費用を支給する制度です。
治療費、入院の費用、看護料、移送費等通常療養のために必要なものは全部含まれます。(ただし
一般に治療効果の認められていない特殊な治療や傷病の程度から必要がないと認められる付添看
護婦を雇った場合等は支給されません。)
労働者が業務上の事由又は通勤による傷病の療養のために休業し、賃金を受けない日の第4日目
以降から支給されます。(ただし、業務災害の場合、休業初日から3日間は事業主が労働基準法の規
定に基づく休業補償を行わなければなりません。)
この場合、休業1日につき給付基礎日額の60%が休業(補償)給付として支給されますが、このほ
かに給付基礎日額の20%が特別支給金として支給されます。
給付基礎日額は、原則として、災害が発生した日以前3ヶ月間に被災した労働者に支払われた賃金
の総額を、その期間の総日数で割った額です。
なお、労災保険における給付基礎日額の最低保障額が決められており、平均額が最低保障額に満
たないとき、適用されます。
(注)通勤災害の場合は、一部負担金200円(健康保険の日雇特例被保険者の場合は100円)が
減額されることとなります。
療養開始後1年6ヶ月経過しても治ゆせず、傷病等級(第1級~第3級)に該当するとき給付基礎日
額の313日~245日分の年金が支給されます。
傷病が治ゆしたとき身体に一定の障害が残った場合、障害等級第1級~第7級の場合は、給付基礎
日額の313日~131日分の障害(補償)年金が、また第8級~第14級の場合は給付基礎日額の50
3日~56日分の障害(補償)一時金が支給されます。
(注) 同一の事由により、厚生年金保険の障害厚生年金等が併給される場合には、一定の調整率
によって調整され支給されることになっています。
① 障害(補償)年金差額一時金
障害(補償)年金の受給者が死亡した場合、その者に支給された障害(補償)年金の合計額が下
表の額に満たないときは、その差額が一時金として遺族に対し支給されます。
② 障害(補償)年金前払一時金
障害(補償)年金受給権者の請求に基づいて、その障害等級に応じ下表に掲げてある額を最高
限度として障害(補償)年金が一定額までまとめて前払で受けられますが、前払一時金に達する
まで年金が支給停止されます。
障害等級 |
補 償 額 |
第1級
第2級
第3級
第4級
第5級
第6級
第7級 |
給付基礎日額の 1,340日分
〃 1,190日分
〃 1,050日分
〃 920日分
〃 790日分
〃 670日分
〃 560日分 |
労働者が業務上の事由又は通勤により死亡した場合に支給され、遺族(補償)年金と遺族(補償)一
時金の二種類があります。
労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していた一定の範囲の遺族に対し遺族(補償)年金
が、その年金受給権者がいないときは、一定の範囲の遺族に対して給付基礎日額の1,000日分の
遺族(補償)一時金が支給されます。
遺族(補償)年金の支給額は次のとおりです。
遺 族 数 |
年 金 額 |
1 人 |
年金給付基礎日額の153日分 |
55歳以上の妻又は労働省令で
定める障害の状態にある妻 |
〃 175日分 |
2 人 |
〃 201日分 |
3 人 |
〃 223日分 |
4 人 以 上 |
〃 245日分 |